9月国立劇場の文楽公演、夜の部へ。
5月にも見に行ったのだけど忙しくて書くのを忘れてました。今回の夜の部は、近松半二「奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)」の半通し。歌舞伎文楽好きならムムムとなる、ツウ好みの作品で、半二お得意のとにかく複雑な筋立てとそれをまとめあげるスケールの大きさがみどころな話であります。 あらすじは、とにかく説明が難しいのだけども、平安時代、朝廷の奥州征伐で破れた阿部一族の、征伐軍の大将源義家に対する復讐劇を下敷きにしたおはなし。そこに、東北の鬼婆伝説などもからめて、今でいったら歴史ファンタジーものになるのでしょうか? ポスターの恐ろしげな老婆は、阿部一族の女主人、夫を朝廷に殺され、東北の野原の一軒家で旅人を喰いながら復讐の機会をねらう鬼女。反乱の旗印にと誘拐した皇族の病を治すため、捕らえた妊婦から生きた胎児を取り出し、生き血を絞って秘薬を作る、ところが殺した妊婦は実の娘であったのでした・・ こんな感じで、阿部と源氏の双方の関係者が複雑に絡みあって復讐劇のなかで悲劇が嵐のように巻き起こるという、なかなかにヘヴィなおはなしであります。最後は反乱軍の阿部が滅びてめでたしめでたし、と見かけ上はなるのだけど、これはやっぱり朝廷に歯向かう阿部の側から見たものがたりでもあり、そこが奥が深くていいところだ。鬼婆が済んでいるあばら屋の襖の奥には絢爛豪華な御座があり、誘拐された幼い皇族が鎮座ましますというおどろおどろしさ。床下には鬼婆が喰い殺した骨の山。シュール。(でも誘拐された宮様は、源氏のトリックでにせものなんだけどね。かわいそうな阿部一族。) 作品にまけず、見応えのある舞台で大いに満足。お客も大入り。 千歳大夫が袖萩祭文の段で大熱演で観客もすすり泣き。盲目の袖萩を遣ったのはわたしの好きな紋寿さん。安達が原の段では精治さんの三味線が暗く迫力があってよかったです。みっちり文楽見ました、と言う感じ。 今月のポスター。迫力あります。国立のポスターはいつもデザインが素敵で洗練されてます。チラシはいつも捨てずにコレクションしてあるんだが今回は特に良い。会社の行き帰りで乗る有楽町線の駅にも貼ってあって、いつも目がいってしまう。 昔は横尾忠則とかもポスター作ってたんだよー。来週は歌舞伎だ。舞台の秋。忙しい忙しい。 横尾のポスター。ほすぃ。
by suo-suo
| 2008-09-06 02:14
| 本とか芝居とか音楽とか
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